「万物の王であるキリストと教会」
聖書:エペソ1章20~23
牧師:佐藤勝徳

1、万物の王に即位されたキリスト

約2000年昔、キリストは、神の偉大な力で復活し父なる神の右の座に着座されました。その時、キリストは父なる神より「すべての支配、権威、権力、主権の上に、また、今の世だけでなく、次に来る世においても、となえられるすべての名の上に置かれた」のです。キリストはもともと万物の創造主であり王の王であられたのですが、人類の罪の赦しと救いの為に、その地位を全て捨てて人となれれました。そのキリストが、十字架の死により人類の罪を全て取り除かれるという救いの御業をなされた事の証明として復活をされ、再び万物の王の王として父なる神より聖霊の注ぎを受けられました。キリストは人であり神である、神であり人である「神人メシヤ」として再び万物の王に即位されたのです。キリストは、実際に万物の王の王、主の主として天上から現在の全世界を統治されているのです。キリストの許しがなければ、この世界において何一つ起こらないのです。現在の世界の多くの良い事、幸いな事、日々の食事、日々の労働、オリンピックや全てのスポーツだけでなく、厳しい様々な出来事は、万物の王なるキリストの許可の中で起きている出来事なのです。新型コロナウイルスにより疫病の蔓延、ウクライナへのロシアによる侵攻を含め世界起きている様々な戦争、厳しい大災害など、全て愛と正義に満ちた万物の王なるキリストの統治の中で起きている出来事です。それ故に、パウロは万事に感謝する事を教えています。その統治は今の世だけでなく、来るべき次の世においても同様だとパウロは教えました。

2、メシヤ的1000年王国の王となれるキリスト

来るべき世とはどのような世でしょうか。それは、やがてキリストが地上に再臨されてイスラエルと結ばれた「アブラハム契約」「土地の契約」「ダビデ契約」「新しい契約」と言う4つの無条件契約の成就として実現されるメシヤ的1000年王国を意味しているのです。

黙示録では、キリストが小羊として40回以上啓示されていますが、一度だけ黙示録5章1節で「ユダ族の獅子」として啓示されています。それはキリストはユダ族から出たお方であり、地上に再臨されてイスラエルを中心としたメシヤ的1000年王国の王となるという事を意味しています。ではなぜ再臨のキリストは「ユダ族の獅子」と呼ばれるのでしょうか。それは創世記49章9章10節のヤコブの預言によるのです。ヤコブはユダ族について次のように預言しました。

◆「創49:10 つえはユダを離れず、/立法者のつえはその足の間を離れることなく、/シロの来る時までに及ぶであろう。もろもろの民は彼に従う。」

以上の聖句では、イスラエルの12部族の中でユダ族が獅子とされ、獅子であるユダ族から出現するイスラエルの指導者が「シロが来るまで」絶えないと預言されています。シロは「権威が所属する者」と言う意味で初臨のメシヤを意味しています。この預言は、「シロ」と呼ばれるメシヤが来れば、ユダ族からは指導者が絶える事を預言しています。それは、キリストが十字架で死なれた後、イスラエルがAD70年にローマによって滅びた事で成就したのです。それにより、イスラエルの国はなくなり、ユダ族から出現したイスラエルを指導する人たち消え失せました。しかし、シロはやがて世界を支配する事も預言されていますので、シロは同時に再臨のメシヤを意味しているのです。この預言は、旧約聖書の中で、キリストが「メシヤ的1000年王国」の王となる事を最初預言したものです。

3、王なるキリストに統治される「メシヤ的1000年王国」

◆「イザ11:1 エッサイの根株から新芽が生え、その根から若枝が出て実を結ぶ。11:2 その上に【主】の霊がとどまる。それは知恵と悟りの霊、思慮と力の霊、【主】を恐れる、知識の霊である。11:3 この方は【主】を恐れることを喜びとし、その目の見るところによってさばかず、その耳の聞くところによって判決を下さず、11:4 正義をもって弱い者をさばき、公正をもって地の貧しい者のために判決を下す。口のむちで地を打ち、唇の息で悪しき者を殺す。11:5 正義がその腰の帯となり、真実がその胴の帯となる。11:6 狼は子羊とともに宿り、豹は子やぎとともに伏し、子牛、若獅子、肥え家畜がともにいて、小さな子どもがこれを追って行く。11:7 雌牛と熊は草をはみ、その子たちはともに伏し、獅子も牛のように藁を食う。11:8 乳飲み子はコブラの穴の上で戯れ、乳離れした子は、まむしの巣に手を伸ばす。11:9 わたしの聖なる山のどこにおいても、これらは害を加えず、滅ぼさない。【主】を知ることが、海をおおう水のように地に満ちるからである。11:10 その日になると、エッサイの根はもろもろの民の旗として立ち、国々は彼を求め、彼のとどまるところは栄光に輝く。」

イザヤが預言するように、キリストが地上のエルサレム神殿から王として統治するメシヤ的1000年王国の世界は、人と人、人と動物、動物と動物の間には平和が1000年間続くのです。肉食動物は草食動物になり、毒のある蛇は無毒の蛇になるのです。国同士の争いごとも、その他の争いごともキリストが平和の内に解決できるようにされるのです。それは、愛の満ち溢れた平和の王であるキリストを直接に体験的に知る事が全世界に及ぶからだと、イザヤは教えています。それは、まるでエデンの園が回復したような喜びと平和に満ちた世界なのです。

4、万物の王であるキリストを頭とするキリストのみ身体なる教会

その王の王、主の主であるイエス・キリストが、教会のかしらとして与えられているとパウロは教えています。その教会は、キリストの体でとされています。つまり、教会は永遠の万物の王の王であるイエス・キリストを頭とし、その頭なるキリストのご指示に従いしお仕えする体として召されているのです。教会と訳されているギリシャ語の原語は「エクレシア」です。それは神によってこの世からある使命をもって召し出された者たちの集合体」を意味します。全世界のどこかのキリスト者が神の偉大な力で強くされて神のお仕えしている事は、全てのキリスト者にとって大変幸いなことです。また、全世界のどこかでキリスト者の一人が痛み苦しんでいる事は、全世界のキリスト者の痛み苦しみとなっているのです。キリストのみ身体なる教会について、聖霊によってキリスト者が目が開かれれば、そのキリスト者は全世界の教会の事を、自分の事ととして覚え、まるで人間の体の各器官が互いに支え合うように、互いに支え合うキリスト者に引き上げられるのです。

今年の5月に、イギリスのチャールズ国王の戴冠式が予定されています。その時に被る冠の上に十字架が据えられています。それは、イギリスの王は、万物の王の王、主主であるイエス・キリストに従うことを意味しています。戴冠式においてその事を王は誓うのです。

私たちは、イギリスの王だけでなく、世界の多くの上に立つ人たちが、永遠に万物の王の王となり、全世界を統治されているキリストを真の王として認めて、その愛と正義に従う事が出来るように祈りましょう。

あなたも、聖書が教える通り、あなたを愛と正義により偉大な力で統治されている、あなたの永遠の王となられたキリストをあなたの王としてお認めになり、キリストに従う祝福された人生を歩まれませんか。