「あなたは既に祝福されている」
聖書:エペソ1章1節~14節
牧師:佐 藤 勝 徳
1、エペソ書の中心的メッセージ
エペソ人への手紙は、信仰の為に迫害を受けローマの牢獄に囚人となっていた使徒パウロが、AD62年ごろに初代のエペソ教会のキリスト者たちにあてて書いた手紙です。AD62年ごろというのは、悪名高いローマ皇帝ネロがローマを支配していた時代です。パウロも、ネロの審判を受ける可能性があったのです。そのような中で忠実な聖徒の一人であったテキコという人を通してパウロの手紙はエペソ教会に届けられました。エペソの人への手紙の中心的なメッセージは、神さまから奥義として知らされた全世界の異邦人のキリスト者と、全世界のユダヤ人のキリスト者によって構成されているキリストの御体なる教会、或いは花嫁なる教会を通して、神さまがこの地上でご自身の栄光を現そうとされているという事です。私達キリスト者は、全世界の異邦人キリスト者及び、全世界のユダヤ人キリスト者と共に、愛の心を合わせ、祈りを合わせ、多くの人々の永遠の救いの為に福音を宣教し、また、この地上の人々があらゆる面で祝福される為に、又、それぞれの必要の為にお仕えするという祝福に満ちた使命に与っているのです。聖霊の導きと助けにより、自ら福音宣教の情熱に燃える共に、福音宣教に心を燃やされている全ての福音宣教者の為に祈り支援する事は、素晴らしい祝福です。また、地上の全ての人の祝福と必要の為に自ら仕えると共に、その為に主にあってって励んでいる全てのキリスト者の働きの為に神さまの助けを祈り求めつつ支援する事は素晴らしい祝福です。
エペソの教会のキリスト者の多くは忠実でしたが、中には問題を持っている罪ある状態のキリスト者もいました。キリスト者同士の不一致、キリス者同士の夫婦の関係の問題、キリスト者の家族関係の問題、そして盗みや様々な罪を犯して御霊を悲しませているキリスト者がいたのです(エペソ4:17~30)。そうしたキリスト者が、罪を悔い改めて神のみ心に叶った歩みをするように強く願ってパウロはエペソ書を書きました。
2、キリスト者は天の全ての祝福で既に祝福されている
パウロは、問題のあるエペソ教会の兄弟姉妹が、キリストの御体なる教会の一員として、或いは、キリストの花嫁なる教会の一員として相応しい在り方へと導く為に手紙を書いたのです。 その為の最も大事なメッセージが、私たちキリスト者が、キリストにあって既に、愛と善意と正義に満ち溢れた父なる神さまにより天にあるあらゆる祝福で祝福されているという、驚くべき事実に目をとめて喜び感謝する事でした。「1:3 私たちの主イエス・キリストの父なる神がほめたたえられますように。神はキリストにあって、天にあるすべての霊的祝福をもって私たちを祝福してくださいました。」
天にあるあらゆる霊的祝福がなんであるか詳細には教えられていませんが、キリストを信じている全てのキリスト者は、たちの地上の行いやあり方に関係なく天にあるあらゆる祝福に既に祝福されているとパウロは過去形で表現しています。パウロが御霊によって教えている通りに、キリストにあって天上にある全ての霊的祝福に既に父なる神によって祝福されているのがキリスト者です。その事実は、天の父なる神さまも、イエス様も、聖霊様も、私たちキリスト者を非常に尊い存在として喜び愛して下さっているの事を教えています。それは、私たちの努力や功績によらず、私たちの在り方如何に関わりなく、父なる神さまの一方的な驚くべき憐れみと恵みによるのです。その天上にある神さまのあらゆる霊的祝福で既に祝福されているという事実を信じる信仰に聖霊が働き、神さまに愛されている喜びと平安で心は満たして下さるのです。パウロは自分が既に天上のあらゆる霊的祝福によって祝福されている事を神さまから啓示を受けた時に、その驚くべき恵みに感動して神さまに向かって賛美をささげたのです。その感動を1章3節で書き表しました。「私たちの主イエス・キリストの父なる神がほめたたえられますように。神はキリストにあって、天にあるすべての霊的祝福をもって私たちを祝福してくださいました」と。天上のあらゆる霊的祝福がなんであるか、全ては分かりませんが、パウロは4つの霊的祝福を教えています。
3、天の4つの霊的祝福
①第1は、父なる神さまは天地万物を創造されましたが、その創造の前から、すなわち世界の基の置かれる前から、キリストにあってキリスト者である私たちをご自身の子ども、神の子として選ばれていた事が霊的祝福です。その神の選びのみ心により自分を見ましょう。又、全てのキリスト者を見て喜びましょう。キリストを信じる信仰を持つ事が出来たのは、愛と正義と善意と祝福に満ち溢れた偉大ななる創造主の天の父なる神さまにご自分の子として選ばれたいたという驚くべき恵みによるのです。天地の造られる前という、とてつもない大昔に、キリスト者の一人ひとりを神さまはご自身の心の中で、ご自分の子として選んでおられたのです。昔、預言者エレミヤは、自分が母の胎内に宿る前から、預言者として選ばれていたと証をしています。それは、パウロの天地の造られる前から父なる神さまによってご神の子として選ばれていたという真理に通じるものです。「わたしは、あなたを胎内に形造る前からあなたを知り、あなたが母の胎を出る前からあなたを聖別し、国々への預言者と定めていた。」(エレミヤ1:5)
②第2は、全てのキリスト者が「御前で聖く、傷のない者にしようとされた」と定められた事です。父なる神様から神の子として選ばれたキリスト者は救われたとしても罪に堕落した堕落性を持っています。その堕落性をパウロは「傷」と呼んでいます。人の悪意に満ちた言葉や仕打ちにキリスト者も傷つきます。それは、罪に堕落した者であることを教えています。キリストはどのような仕打ちを受けても心が傷つき、人を憎み恨むという事は一切ありませんでした。心が傷つくのは心が罪に堕落している証拠なのです。キリスト者の心が段々とキリストの如く聖なる心に変えられて行くと同時に傷が一切ないものとなります。それを「聖化」とか「栄化」と呼びます。その恵みに与らせよう天の父なる神さまがご計画して下さった事が素晴らしい霊的祝福です。ですから、キリスト者である私たちは、父なる神の恵みによって必ず聖化され、栄化され、キリストのような神の子とされると断言してよいのです。
③第3は、全てのキリスト者がキリストの十字架の血により、永遠に罪の赦しを受ける者と定めて下さったことです。それが天にある神さまの驚くべき恵みの霊的祝福です。キリスト者が地上でその祝福に与る事を既に天上で定めて下さっていたのです。
④第4は、キリストを信じて罪赦され永遠の義人にされた全てのキリスト者には、神の子とされた事の証印として均しく分け隔てなく、神の聖霊が内住して下さる事が定められていた事です。同時にその聖霊が、全てのキリスト者が神の国を受け継ぐ保証、朽ちる体が永遠に朽ちない体に贖われる事の保証となる事を神が定めて下さっていた事です。
4、地上での祝福の道
天の父なる神さまは天地の造られる前から、私達全てのキリスト者を天上において以上の4つの霊的祝福で既に祝福して下さっていたのです。その事は、私たちが、父なる神から如何に愛されているかを確信させてくれます。天上のもろもろの祝福に既に与らせて下さっている父なる神さまが、この地上においても全てのキリスト者が、霊的にも、精神的にも、経済的にも、社会的にも、物質的にも、肉体的にもあらゆる祝福で満たされるようにと、いつも心を燃やされているのです。第3のヨハネの手紙2節で次のように教えられています。「Ⅲヨハ1:2 愛する者よ。あなたが、たましいに幸いを得ているようにすべての点でも幸いを得、また健康であるように祈ります。」
キリストにあって天のあらゆる霊的祝福で既に祝福されているというのは、私たちの行い、善行に一切関係なく、父なる神さまの一方的な驚くべき恵みの意志によります。しかし、この地上で、あらゆることにおいてあらゆる祝福を実際に受ける為には、聖霊を悲しませたり、聖霊の火を消したりする、不信仰や不従順の罪を徹底して悔い改めて、内住の聖霊様の細き御声に忠実に生きる事が求められています。
5、ヨセフの成功物語
ヤコブの11番目の息子「ヨセフ」は、厳しい苦難の中を通りましたが、神がいつ共にいて下さったので彼のなす事は悉く成功し、ついにエジプトの王に次ぐ第2の地位まで上り詰めました。その彼の成功物語をモーセは次のように教えています。「創39:2彼の主人は、【主】が彼とともにおられ、【主】が彼のすることすべてを成功させてくださるのを見た。」
ヨセフの成功物語は、いつも神さまが共にいて下さって一緒に働いて下されば人は成功という祝福を手にする事を教えています。天地の造られる前から、神さまに
神の子として選ばれたキリスト者も、ヨセフのように神の栄光の為に成功者になる可能性があるのです。全てのキリスト者が良心に責められることがない神さまのみ心に叶った従順な日々を送り、ヨセフのような世界を祝福する成功者へと引き上げて下さるように祈ります。あなたもキリストを信じて、全ての面で神さまに祝福されますようにお祈りします。