「内なる人が強くされて」
聖書:エペソ3:14~21
牧師:佐 藤 勝 徳
1、内なる人とは
現代の日本の夏は、地球温暖化の影響もあり、身も心もうだるような30度を超える猛暑日が多くなっています。しかし、暑さで外なる人である肉体は疲れたり、年齢と共に衰えたりしても、内なる人と呼ばれるキリスト者の魂は日々強くされ、日々新たにされるのです。パウロはその事を信じて、次のように祈っています。「どうか父が、その栄光の豊かさに従い、御霊により、力をもって、あなたがたの内なる人を強くしてくださいますように」。人間は、魂と霊と肉体で構成されています。肉体には外側の出来事を体験的に直接知る五感の機能があります。魂はその影響を受けて、寒すぎたり暑すぎたりすると魂は喜び失せ、憂いが宿ります。魂には知情意の機能があり肉体の五感の影響を受けています。霊には目に見えない創造主の神を体験的に直接知る機能があります。その霊はキリスト者の魂を健全に機能させる働きがあります。魂は、霊と肉体の両方の影響を受けているのです。しかし、キリストを信じていない人の霊は創造主の御霊を宿していないので、日々創造主の神さまを体験的に直接知るという機能が失われています。つまり、聖書が教えている通りに「死んだ霊」となっているのです。キリスト者の内なる人というのは創造主の御霊を自分の霊に宿しているキリスト者の「魂」を意味しています。キリスト者の霊は、イエス・キリストを自分の救い主と信じた時に、創造主である父なる神が遣わされる御霊が永遠に宿り、生きた霊となりました。キリスト者の内なる人である「魂」が自分の生きた霊に宿っている創造主の御霊の働きを受けて強くされますと、その魂は、外側の環境を直接的に触れている肉体の五感の影響から守られます。更に、外側の人間関係や仕事などの環境の影響から守られ、どのような環境の中にあっても神のみ心に叶ったあり方を保つのです。内なる人である魂が御霊によって強くされる目的は、キリスト者が思いにおいても、行いにおいても、言葉においてもますます神のみ心に叶った人へと成長する事です。
2、内なる人が強くされる結果
キリスト者の内なる人である「魂」が創造主の御霊によって強くされる結果は4つあります。
①第1に、どのような環境の中にあっても、復活の霊なるキリストがその人の魂を通して生きて働いて下さることを信じる信仰が強められ、その信仰に応じて、キリストが実際に住んでお働き下さる事です。「エペ3:17こうしてキリストが、あなたがたの信仰によって、あなたがたの心のうちに住んでいてくださいますように」。
②第2に、神さまの無条件の愛を信じる信仰が強められ、どのような環境の中にあっても神さまの無条件の愛に根差し、基礎として日々を生きるようにされます。つまり純粋に愛を動機として生きるようになるのです。「エペ3:17愛に根ざし、愛に基礎を置いているあなたがた」。 しかし、神の御霊を宿しているキリスト者には、貪欲の傾向性を持つ古い人が残存していおます。愛ではなく、貪欲に生きるように私たちの魂に仕向けるのが古い人と呼ばれる人間の罪の傾向性です。その傾向性は大変しつこくてわたしたちを支配しようとします。しかし、キリスト者の内に与えられている神の聖なる性質に満ちています。それが新しい人です。その新しい人が古い人に逆らい、他者の祝福と名誉の為に愛を持って生きるように促します。キリスト者は、自分の魂の中に、古い人と新しい人の二人が存在し、どちらに生きるのか第三者の内なる人である魂が日々選択が迫られているのです。それが信仰の戦いです。第三者の内なる人である魂が、客観的に自分を見て、古い人に、つまり肉に生きるのか、信仰によって新しい人として生きるのか、つまり御霊によって生きるのかを選択するのです。第三者の内なる人である魂が、自分に残存する古い人はキリストと共に十字架で死に、キリストと共に甦って新しい人になったという勝利の福音の事実に基づき、古い人をキリストの十字架の死と墓に委ね、また、どのような人も愛し、祝福する新しい人とされている事実に安んじる時に、御霊によって愛に生きる決断が与えられます。その信仰により御霊による決断に更に御霊が働き、そのキリスト者の内なる人である魂には、御霊のさわやかな風が吹き、御霊の実である愛と平安と喜びで満たされるのです。御霊は、勝利の福音に生きる事を選択するそのキリスト者の信仰の内なる人を強めて下さり、父なる神さまの無条件の愛に根差し、父なる神さまの無条件の愛を基礎として生きるようにして下さるのです。それが内なる人が強くされる結果です。
③第3に、人類の罪の身代わりに十字架で刑罰を受けられたキリストの人知をはるかに超えた犠牲の愛の広さ、長さ、高さ、深さを理解し、キリストに愛されいてる喜びの中に生きる人になる事です。御霊は啓示の光ですので、御霊によって強くされた内なる人である魂は、御霊によって知性が啓発され、心の目が開かれてキリストの十字架の愛をより深く知るように導かれ、日々、キリストの十字架の愛を喜ぶ喜びが深められるのです。それが、御霊によって内なる人が強くされる結果です。
④第4に、神さまご自身の満ち満ちたさまにまで、そのキリスト者が満たされる事です。神さまの満ち満ちたさまというのは、神さまの性質が愛と正義に満ち満ちておられる事です。御霊によって強くされたキリスト者の内なる人である魂は、神さまの愛と正義に満ち満ちたさまに、少しづつ漸進的に変えられていくのです。それをパウロはコリント書では「霊なる主であるキリストによって、キリストの姿に変えられる事」だとも教えています。「Ⅱコリ 3:18 私たちはみな、覆いを取り除かれた顔に、鏡のように主の栄光を映しつつ、栄光から栄光へと、主と同じかたち姿を変えられていきます。これはまさに、霊なる主の働きによるのです」。その事を神学的には「聖化」と呼びます。キリストが空中に再臨される時、キリストにある全てのキリスト者の内なる人である魂は完全な魂にされる栄化の恵みに与ります。その時まで、キリスト者の魂は、御霊によって日々強くされながら、キリストのように、又、父なる神さまのように魂が少しづつ変えられていく「漸進的聖化」の恵みに与るのです。それが、御霊によって内なる人である魂が強くされる4つ目の結果です。 パウロは、エペソ6章でも、キリスト者が超自然的な悪の力を持っている悪魔とのに勝利する為に、キリスト者の内なる人である魂が、キリストにあってその偉大な力で強くされよ!と宣言しています。「エペ6:10 終わりに言います。主にあって、その大能の力によって強められなさい。」
⑤第5に、キリスト者の祈りが豊かに答えられる事です。パウロは次のように教えています。「3:20 どうか、私たちのうちに働く力によって、私たちの願うところ、思うところのすべてを越えて豊かに施すことのできる方」と。御霊の力の働きを受けて強くされた内なる人の祈りは、その願うところ、思うところをの全てを超えて豊か叶えて下さる神の恵みに与るのです。聖霊によって内なる人である魂が強くされると、その人の祈りの生活に変化が来るのです。自分の願いや思いをはるかに超えて豊かにかなえて下さる父なる神さまを体験的に知らされて、祈らないと損だと思う心が深められて、日々ひざまずいて祈るの人となるのです。ダニエルや預言者たちが一日に何度もひざまずいて祈りましたように、一日に何度もひざまずいて祈る人にひきあげられていくのです。それが、御霊によって内なる人である魂が強くされた人に与えられる結果です。祈りの人になる道は、御霊によって内なる人が強くされる事です
3、御霊によって内なる人が強くされる秘訣
では、どうすればキリスト者の内なる人が御霊によって強くされるのでしょうか。それは、先に亡くなって既に天の御国に導かれた旧約時代のユダヤ人の聖徒達と異邦人の聖徒達、新約時代のユダヤ人キリスト者と異邦人キリスト者、そして現在この地上に生きて残っているユダヤ人キリスト者と異邦人キリスト者、更に将来の全てのキリスト者とで、キリストをお兄さんとし、父なる神さまをお父さんとする神の大家族の一員にされている事実を受け入れ感謝し、パウロのように父なる神さまの御前に日々深い親しみと喜び込めて跪き祈る事です。そのキリスト者に御霊が働き、内なる人である魂は日々強められるのです。
「エペ3:14 こういうわけで、私はひざをかがめて、 3:15 天上と地上で家族と呼ばれるすべてのものの名の元である父の前に祈ります。」
あなたもキリストを信じて、あなたの霊に神の御霊が宿り、あなたの内なる人である魂が、御霊によって日々強くされて幸いな人生の中を歩まれますようにお祈りしています。