「聖化の道は万事が益となる道」
聖書:ローマ8章17節~30節
牧師:佐藤勝徳
【はじめに】
「聖化の道」を歩んでいるキリスト者には、それゆえの試練があります。パウロが次のように教えています。「ロマ8:17 もし子どもであるなら、相続人でもあります。私たちがキリストと、栄光をともに受けるために苦難をともにしているなら、私たちは神の相続人であり、キリストとの共同相続人であります」。「聖化の道」を歩んでいるキリスト者は、キリストと苦難を共にするのです。ローマのキリスト者はネロの皇帝による迫害を受けました。そのように、現代でも「聖化の道」を歩むキリスト者は全てではありませんが、色々な苦難の中を通されます。時に、「なぜ」と疑いたくなるような厳しい試練を通る事もあります。人生の全てが「マイナス」に動いているかのように思わされる事もあるのです。しかし、そのマイナスと思われる災いや苦難を神はキリスト者の為に全て祝福の益にかえてくださると、パウロは教えています。「ロマ8:28神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています」。では神はどのようなキリスト者の為に万事を益に変えて下さるのでしょうか。
1、神によって万事を益に変えて頂くキリスト者とは
①いつも喜び万事に感謝しているキリスト者
それは先ず、そのキリスト者が「神を愛している」事によります。キリスト者が神を愛しているかどうかをチェックする最大のポイントは、「聖化の道」を歩んでいる結果として「いつも喜び、万事を感謝している」かどうかです。「聖化の道」を歩み、御霊の実である喜びと感謝を神さまにお捧げしているキリスト者に対して、神さまは万事を益と変えて下さるのです。 ②ご計画に従って召されているキリスト者
第2番目は、「ご計画に従って召されている事」です。神のご計画というのは何でしょうか。それは黙示録21章で約束されている「新天新地」実現に向けてのご計画です。黙示録に約束されている新天新地は、罪、死、苦しみ、病、悲しみが一切なく、創造主の神さまと人間、人間と人間との間に永遠に完ぺきな愛の交わりの喜びが続く神の御国です。その神の御国実現に向けて神さまは二つのご計画を立てられました。一つは「イスラエル民族」を通して世界を祝福するご計画です。もう一つはイスラエル民族を通して神の祝福を受ける異邦人に対するご計画です。
1)神さまのイスラエルに対する祝福のご計画
神さまはイスラエル民族と5つの契約を結ばれました。「モーセ契約」「アブラハム契約」「土地の契約」「ダビデ契約」「新しい契約」です。「モーセ契約」は、キリストが十字架におかかりになったときに終わらせました(ロマ10:4)。後四つは無条件契約で、これから完全に実現します。それは、キリストがこの世界に再臨された時に実現し約束が成就します。その世界を「メシヤ的千年王国」と言います。再臨されたキリストが、イスラエルと世界の王となって、世界を戦争が完全に無い平和な世界にされます。肉食動物は全て草食動物に変えられます。毒蛇は全て無毒となります。それによって、人間と動物、動物と人間の間に完璧な平和が実現します。また、自然界は、殆ど災害がなく、エデンの園が回復したかのような美しく、豊作に満ちた祝福された世界となります。イスラエルは、パレスチナを約束の地として受け継ぎ、復活したダビデ王がその地を治めます。旧約時代の全てのユダヤ人聖徒は甦り、約束の地の住民となります。7年の大艱難時代を生き抜いた3分の1のユダヤ人もその地の住民となります。そのようにして、約束の地を与えると約束された「アブラハム契約」と「土地の契約」が実現します。また、メシヤ的王国の全ての住民の祝福の為に、キリストがイスラ出ると全世界の王となり、ユダヤ人が異邦人を治める指導者になります。(イザヤ2:1~4、申命28:1,13、ダニ7:27)。以上の祝福のご計画が実現するまでのイスラエルに対する神さまのご計画は、イスラエルの不信仰と罪を厳しく裁くという御計画です 。
2)イスラエルに対する裁きのご計画
それは、第1に、ゴグ・マゴグの6っか国による「北の連合軍」によるイスラエル侵略です。(エゼキエル38章、39章)。その時が確実に近づいている事を、最近のイスラエル情勢で理解する事が出来ます。北の連合軍の侵略が起きる時のイスラエルの情勢は、(1)イスラエルが国家として存在している事(1948年5月14日イスラる国家が樹立)、(2)イスラエルの山々に多くのユダヤ人が住んでいる事(第3次中東戦争でイスラエルがヨルダン西岸を支配下におき、イスラエルの山々に現在70万人が居住している)、(3)イスラエル国民がみな安心して住んでいる。第3番目の「北の連合軍」侵略の為の印である「安心して住んでいる」はまだ実現していない。この「安心」は戦争がない事でなく、戦争があっても国防軍の強さを信頼する事から生まれる「安心」の事です。イスラエル国防軍の「防空システム」がどれほど優れているか、イランからの約300発のミサイルやドローンをほぼ撃退してことで更に知られるようになりました。(4)第4番目の印は、世界に散らされた離散のユダヤ人が世界各国から帰還する事です。ロシアのウクライナ侵攻以後、37か国からユダヤ人がイスラエルに帰還しました。以上の情勢下にあるイスラエルは、神さまに信頼するよりも、人間の力を信頼するという不信仰により、神の裁きとして「北の連合軍の侵略」を受けます。しかし、神さまが直接臨んで「北の連合軍」を滅ぼされます。(エゼキエル38:8~9、21~22)。 次の裁きは、イスラエル国家の安全保障の為に、神さまに信頼するよりも、反キリストに信頼して反キリストと安全保障条約を結んだ結果(ダニエル9:27)、その不信仰に対して神の怒りが降り、7年の大艱難時代がイスラエルと世界に臨みます。その時代に、3分の2のユダヤ人が反キリストの軍隊によって虐殺され、残った3分の1のユダヤ人が改心して、全民族でキリストを信じて、復活のキリストに向かって「主の名によって来られる方の祝福あれ!」と叫びます。(ゼカリヤ13:8~9、マタイ23:39)。その信仰の叫びに応答してキリストが再臨されて、イスラエルを守る為に反キリストの世界連合軍を来臨の輝きと息で悉く滅ぼされます。(イザ63:1~6、黙示19:11~21、Ⅱテサロニケ2:8)その後に、キリストは75日間で荒れた世界を修復し「メシヤ的千年王国」を実現されます。(ダニエル12:11~12)
3)異邦人に対する神のご計画 神さまは、イスラエルと結ばれた4つの無条件契約の一部に、キリストを信じた異邦人に与らせます。第1に、世界を祝福する聖徒となるという約束(ローマ4:16-18)、第2に、罪の赦しと聖化の恵みにより、ユダヤ人に妬みを感じさせるほどキリストのような人格者に聖化するという約束(ローマ11:14)。その約束以外に、ユダヤ人キリスト者とで「キリストの花嫁なる教会」を構成するというご計画(エペソ2:14~22)、そしてキリストが空中再臨された時、「罪に堕落したからだ」を永遠に朽ちないからだ、永遠に罪を犯さないからだ、永遠に病気をしないからだ、永遠に苦しまないからだという「栄光のからだ」に変えられるというご計画(ロマ8:23、Ⅰコリ15:51~53、Ⅰテサ4:13~18)
更に天に引き上げられてから、キリストによって地上で御霊の導きで行った善行に対する報いを定める裁きの前に立つというご計画、更に、天で花婿なるキリストとの婚礼に導かれ、キリストとの愛の交わりが格段と引き上げられ、深められる喜びに与るご計画、そして、最終的には、「メシヤ的千年王国」に導かれ、キリストとの婚宴の恵みに与ります。以上のようなご計画に従って、神の栄光の為に仕える「神の僕」として召されたキリスト者に対して、神さまは「万事を益に変えて下さる」お方なのです。では、なぜ、神を愛するキリスト者、神のご計画に従って召されたキリスト者に対して神さまは「万事を益に変えて下さる」のでしょうか。それは二つの理由によります。
2、キリスト者の体験する万事が益に変えられる理由
①キリスト者は万物をキリストと共同所有者とされたから
第1の理由は、キリスト者は万物をキリストと共同所有者とされた事です。万物は全てのキリストの手にありますが、そのキリストの手にある万物をキリスト者が「共同所有者」になったとパウロは教えています。
◆「ロマ8:17私たちは神の相続人であり、キリストとの共同相続人であります」
◆「Ⅰコリント3:31ですから、だれも人間を誇ってはいけません。すべては、あなたがたのものです。3:22 パウロであ れ、アポロであれ、ケパであれ、また世界であれ、いのちであれ、死であれ、また現在のものであれ、未来のものであれ、すべてあなたがたのものです。3:23 そして、あなたがたはキリストのものであり、キリストは神のものです。」
②キリスト者は御子イエス・キリストと同じ姿(人格者)に定められていたから
第2の理由は、キリスト者は天地の造られる前から、キリストのようにしみも傷もない神の子となるように、定められ、既に天にある全ての祝福で満たされている事によります。 ◆「ロマ8:29 なぜなら、神は、あらかじめ知っておられる人々を、御子のかたちと同じ姿にあらかじめ定められたからです。それは、御子が多くの兄弟たちの中で長子となられるためです。 8:30 神はあらかじめ定めた人々をさらに召し、召した人々をさらに義と認め、義と認めた人々にはさらに栄光をお与えになりました。」
◆「エペ1:3 私たちの主イエス・キリストの父なる神がほめたたえられますように。神はキリストにあって、天にあるすべての霊的祝福をもって私たちを祝福してくださいました。 1:4 すなわち、神は私たちを世界の基の置かれる前から彼にあって選び、御前で聖く、傷のない者にしようとされました」。以上2つの理由により、キリスト者が体験するマイナスと思われる出来事も全て「祝福」という益に、神は変えて下さるのです。
あなたも、あなたが体験する万事を神が「祝福」という、益に変えて頂くため、神の愛を信じ、神を愛する人となられますようにお祈りします。