「パウロのイスラエルへの愛③」
聖書:ローマ9章1節~5節
牧師:佐藤勝徳

 

1、神さまの愛と慰め
①母親を通して
今日は母の日ですが、 私達は母の優しさを通して多くの慰めを受けてきましたが、目に見えない創造主は、ご自身の愛と慰めを先ず母親を通して、私達にお示しになっています。母親は約10か月間胎内で、一人ひとりを優しく育み、産みの苦しみに耐えて一人ひとりを産んでくれました。聖書は、創造主の神が、その母親と共にいて母の胎内で、一人ひとりを創造された事が教えられています(詩篇139篇)。母親の乳房は、赤ちゃんが母親の瞳を見つめ最も安心しながら乳を飲むために、最も適切位置に造られていると言われています。

②自然を通して
次に創造主は、ご自分がお造りになった美しい自然を通して、優しき愛を全ての人に注ぎ、多くの慰めを与えておられます。宝石のように光輝く若葉の美しさ、又、神がソロモンの栄華に優って装っておられる美しい花々、神の栄光である美しい青空、人類に対する神の愛を表す綺麗な虹、太陽の輝き、夜空の星々とお月さん等によって、人類は神から沢山の慰めを受けています。

③精密に精巧に造られている人間を通して
次に、神さまは、ご自身の形に似せて素晴らしく精密に造られている人間そのものに、神の深い優しき愛を込められています。神の形に似せて造られた人間の体の細胞は約60兆あり、その一つ一つ細胞の中にⅠ,8メートルもあるDNAが非常に細かく折り畳まれて組み込まれています。その全てを一本の線にすると、太陽と地球を300回以上往復する距離になります。それだけを取り上げても、人間は如何に精密に精巧に尊い存在として造られているかが分かります。土のちりで神の形に造られた人の体の中には物質ではない知情意の魂(心)が造られました。それが人間の人格性を表しています。その上に、更に霊が吹き込まれて、体の内部全部に覆っています。外側の肉体は物質ですので、直接物質に触れて、直接に物質に触れない魂(心)に影響を与えています。そのように、霊なる神に直接触れその働きを受ける役割を担っている人の霊が、愛と正義と平和と喜びと知恵と力に満ちている霊なる神に触れその働きを受けると、その霊を通して人の魂(心)は、神の愛と正義と聖さと謙遜さと平和と喜びに満たされて、神のような聖なる生き方が可能となるのです。以上のように、創造主の神の愛の配慮と優しさは神の形に似せて創造された人間そのものにおいて示されています。

2、イスラエルへの神の愛
神さまは、母を通して、自然を通して、精巧にできている人間を通して、全人類にご自身の愛を示されていますが、イスラエルという一つの民族を特別に愛して、全人類に神さまの愛を示されています。それは、創造主の神は、イスラエルを通して全人類を祝福する事を御心とされた事によります。イスラエルを神が愛される事はイコール神が全世界を愛されている事を教えているのです。
神さまは、イスラエルに特別な身分を与えられました。それは先ず、イスラエル民族全体を養子にされ「わが子」という、特別な身分とされた事です。聖書は、神さまが何度かイスラエル「わが子」と呼ばれている事を教えています。以下の通りです。
◆「出 4:22 そのとき、あなたはパロに言わなければならない。【主】はこう仰せられる。『イスラエルはわたしの子、わたしの初子である。 4:23 そこでわたしはあなたに言う。わたしの子を行かせて、わたしに仕えさせよ。・・・・』」。この聖書個所は、エジプトで奴隷として400年間苦しめられていた「イスラエル民族」の解放を、神さまはモーセを通して命令されているみ言葉です。その時に神さまはイスラエル民族を「わたしの子」と呼ばれ、イスラエル民族を「わが子」として特別に愛されている事を示されました。                                                       ◆「ホセ11:1 イスラエルが幼いころ、わたしは彼を愛し、わたしの子をエジプトから呼び出した」。預言者ホセアは、神さまが昔、エジプトから救い出したイスラエル民族について「イスラエルが幼いころ、わたしは彼を愛し、わたしの子をエジプトから呼び出した」。
この預言者ホセアの神の言葉は、イエス・キリストが幼い頃、ヘロデ大王の虐殺を逃れて、ヨセフとマリヤに連れられて逃避したエジプトから、再びイスラエルの地に戻って来る事を預言したものだと、マタイは聖霊によって教えられました。「マタ2:14 そこで、ヨセフは立って、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトに立ちのき、 2:15 ヘロデが死ぬまでそこにいた。これは、主が預言者を通して、「わたしはエジプトから、わたしの子を呼び出した」と言われた事が成就するためであった」。この預言の言葉は、過去のイスラエルと未来のキリストの事を教える2重預言になっています。この預言のみ言葉は、イスラエルが、神さまからキリストの如くに尊い存在として愛されいる事を教えています。                                                           ◆「エレ31:9 彼らは泣きながらやって来る。わたしは彼らを、慰めながら連れ戻る。わたしは彼らを、水の流れのほとりに導き、彼らは平らな道を歩いて、つまずかない。わたしはイスラエルの父となろう。エフライムはわたしの長子だから」。
この預言者エレミヤの神の言葉は、やがてキリストが王の王としてイスラエルを中心として、平和な世界を治める「メシヤ的王国」において、神がイスラエルの父になり、イスラエルは神の子として、神さまと親しき愛の交わりの中に生かされる事が預言されています。エフライムはイスラエルを意味して使用されています。長子というのはモーセ律法では他の兄弟と比較して2倍の祝福を受け継ぎます。イスラエルはメシヤ的王国において神の長子として2倍の祝福を受けながら、世界の全ての人々に神さまの祝福をもたらす民となるのです。
以上のように、パウロはイスラエルが世界に祝福をもたらす使命を果たす為に、神さまから「神の子」という特別な身分が与えられている事を知っていました。「ロマ 9:4 彼らはイスラエル人です。子とされることも、・・・彼らのものです」。しかし、現実のイスラエルはその事を忘れたのか、生ける父なる神と親子としての愛の交わりを失い、ナザレのイエス・キリストをメシヤとして受け入れる事を否定し、滅びの道を歩んでいる事に、パウロは心を深く痛め、断腸の思いでとりなしを捧げたのです。 「神の子」という、養子の身分はイスラエルだけに与えられているものではありません。人類の罪の赦しの為に、十字架で身代わりの刑罰を受け、葬られ、三日目に甦られたイエス・キリストを自分の救い主だと信じている全てのキリスト者も、世界に神さまの救いと祝福をもたらす為に「神の子」とい身分が与えられ愛されているのです。
◆「ヨハ 1:12 しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとされる特権をお与えになった」。                                          イエス・キリストを救い主だと信じた全てのキリスト者が神の永遠の命と神の聖なる性質に与り「聖化の道」を歩む神の子とされているのです。ユダヤ人に向けられている父なる神の母の如き優しき愛と熱愛が、「聖化の道」を歩んでいる「神の子」であるキリスト者のあなたにも向けられているのです!
イスラエルを「わが子」として愛されている創造主の神さまは、預言者イザヤを通してそのイスラエルを母の如き優しき愛で愛されている事を教えましたが、その同じ愛が「子とされた」キリスト者のあなたにも注がれているのです。「イザ49:15「女が自分の乳飲み子を忘れようか。自分の胎の子をあわれまないだろうか。たとい、女たちが忘れても、このわたしはあなたを忘れない」。
このメッセージをお読みのあなたも、母と自然と人間とイスラエルとイエス・キリストを通して愛を示されている創造主の父なる神の愛を信じて、「神の子」の身分が与えられますようにお祈りしています。