2023年3月26日
シリーズ神学ミニレポート
牧師:佐藤勝徳
創世記の終末論Ⅲ
創世記10章~11章

【はじめに】

前回は、創世記49章10節の「シロ」が初臨のメシヤと、メシヤ的1000年王国の王となる再臨のメシヤを意味している事と、ノアの大洪水は、創世記3章15節で預言されている女の子孫と呼ばれるメシヤの出現を妨げようとした悪魔の妨害を打ち破るための神のご計画であったことをお伝えしました。今回は、改めて「女の子孫」によって悪魔を敗北させるメシヤ誕生の神の計画を妨害する悪魔に対する神さまの対処についてお伝えします。

1、創世記10章~11章の終末論

①聖書と科学的事実が教える氷河期

私たち多くのキリスト者は、ノアの時代に世界が神の裁きによって滅んだという事を歴史的事実として起こったという事を知っています。しかし、それ以外に、多くの雪が降りつもってできた氷河で覆われた氷河期が世界に訪れ、それによっても神がこの世界を裁かれたという歴史的事実は知らされずに来たと思います。私もその一人でしたが、数年前の11月に東京のお茶の水会館で開催された「日韓ラブクリエーション」に出席した際に購入しました、2016年度の日韓ラブクリエーションの講演DVDを通して初めて聖書が教える「氷河期」を学ぶことが出来ました。その講演者は韓国の地質学者で「火山灰」を専門に研究をされている「イ・ジェマン博士」です。イ・ジェマン博士は、1816年に夏のない年と呼ばれた北米やカナダ、北欧を襲った異常気象の原因を、日本、インドネシヤ、フィリピンなど数年にわたり五か所で火山の大爆発が起こり、大気に上ったその大量の火山灰にあることを知り、火山灰が地球環境に大きく原因するという事を突きとめられました。結論から言いますと、創世記11章のバベルの塔の出来事に対する神の裁きによって、火山爆発によって大空に舞い上がった火山灰の影響で世界は氷河期を迎えたという事です。バベルの塔の出来事において、神が言語を乱されたという事は知っていましたが、氷河によってその時の人類を神がお裁きになったという事については、私は全く知りませんでした。ではどうして博士が氷河期を聖書が教えているという結論に至ったかを簡単に説明をしたいと思います。

②ノアの大洪水後の氷河期に関する科学的根拠

1) 南極等にある雪によって出来た氷河の存在

現在、南極やグリーンランドなどにある氷河は3千メートルから4千メートルあります。それらが溶けると現在の海面が

65メートルも上昇します。そのような氷河は海水が冷えて出来たのではなく、100%多くの雪が降り積もって出来ました。

氷河は海水が凍ってできたのではないのです。インターネットでも次のように教えられています。

陸上に降り積もった雪が蓄積されて、やがて氷になって流れ始めたものを「氷河」と呼びます。 北極や南極をはじめとして、ヒマラヤやヨーロッパアルプスの高山地帯、南米パタゴニアなど、世界中に氷河が分布しています。 数ある氷河の中でも、グリーンランドと南極大陸を覆う氷は特に規模が大きいので、特別に「氷床」と呼ばれています。」(北海道大学/北極基礎市民講座より)

2) マンモスの骨の実在

現在の氷河できるためにいつ多くの雪が降ったのでしょうか。そのような氷河の中に、3~4メートルもある巨大なマンモスの骨が数百万体分あると言われています。昔の世界の環境と現在の環境は全く異なることを、マンモスの骨の発見を通して知ることが出来ます。

3) 氷河期の時期

では、マンモスを絶滅させた氷河期はいつ起こったのでしょうか。進化論者は4900年前と判断しています。「(現在の氷河時代)は始新世中期(4900万年前)から始まったとされている・・」(ウイキペディアより)。それに対して創造論者の「イ・ジョマン博士」はノアの大洪水の後、バベルの塔崩壊後だと主張をされています。

4) 氷河ができる条件

多くの雪が何百年も降り続けるために必要なのは、温かい海と大気に大量の火山灰が必要とされます。現在の地球の水分の98%は海水から来ています。海水の温度の変化は地球環境に大きな影響力を与えている事が分かります。ノアの大洪水の時に、海底の淵がことごとく裂けたという事は(創世記7:11)、地底のマグマが噴出し、あちこちで海底火山が起きたことは容易に推測ができます。その結果、海水の温度は上昇したことは間違いがありません。海が温かくなると、その温かい蒸気により大気の気温が上がり、雨が降り、地球は適当に湿気がある湿潤な自然を生み出して行った事が分かります。それは、大洪水の後、箱舟より出た多くの生物が繁殖していく為には必要な気候でした。温潤な気候は大きな動物や生物が繁殖し、又、多くの植物が繁茂する為に必要な気候であったのです。それ故にノアも豊かなブドウの収穫に恵まれました。

5) 氷河期は神の怒りによっておとずれた

しかし、その後、全人類は再び神さまに反逆しバベルの塔を築いて、創造主の神がいなくても人類だけで、幸福な社会を築き上げることが出来ると、はなはだ傲慢になり、神の怒りをかい裁きを受けました。その時に、地球のあちこちで火山の大爆発があり、大量の火山灰が大気を多い、それが長年続きました。その為に、太陽の光を閉ざされた大気は冷え、暖かい海から上昇した蒸気が雪となり何百年も降り続け、地球は氷河期を迎えま した。現在の南極などにある氷河には大量の火山灰が含まれている事がその事を証明しています。その結果、巨大なマンモスや恐竜は絶滅していきました。

6) 砂漠が教える気候の大悪化

現在、地球の陸地の3分の1が砂漠になっています。その砂漠には、人間が築いた文明の跡が発掘されてり、多くの人骨、哺乳類の骨、昆虫類の骨等が発見されています。そのような砂漠を「湿潤砂漠」と言います。その湿潤砂漠に多くの雪が降り続け、多くの動植物が死滅していきました。それが現在、骨となって発掘されています。現在の砂漠は、砂漠ができる前の環境が大悪化した結果出来たことを教えています。

7) 人々が海沿いに住んだ理由

氷河時代でも海岸沿いは暖かい海水があるので、雪は海岸沿いではすぐに溶けたことは容易に推測ができます。その為に氷河期が訪れた時代に人々が海沿いに住んでいたことを聖書は教えています。「創10:5 これらから海沿いの地の国民が分れて、おのおのその土地におり、その言語にしたがい、その氏族にしたがって、その国々に住んだ」。

8) 人類の拡散と大移動の原因

◆言葉の混乱

今日の地球の形成はノアの大洪水後、世界を覆った水が引いて行く時に、造山運動や地殻変動が起こり形成されました。しかし、人類は神の命令に従って拡散せず一つの地域に集まり、バベルの塔を建設して神に反逆をしました。その為に言語が乱され、言葉を通じないようにされました。言葉を乱された人類は、言葉が通じる者同士で集まるようになりそれが現在の人種と呼ばれるグループの始まりです。(創世記11:1~9)

 ◆氷河期の到来と人類の拡散

氷河期において、温かい海水は上昇し、火山爆発による火山灰と煙霧質により大気は冷え、地に毎年2メートルほど5百年以上も降らせました。その結果、海面は約120メートルも下がり、各大陸や島々をつなぐ大陸棚が現われ、それによって人類はいろいろな地域に移動が可能となり大移動をし拡散しました。以上のことをイ・ジェマン博士がDVD「氷河期の不思議」で講演されていますので、更に詳細についてお知りになりたい方はお聞きなる事をお勧めします。また、ICM出版の「アンサーズブック」(P273~287)をもお読みくださる事をお勧めします。

③ノアの大洪水後の氷河期の聖書的根拠

以上の科学的根拠以外に、イ・ジョマン博士は聖書的根拠として、ヨブ記を取り上げています。ヨブは、ウツの地方に住んでいたのですが(ヨブ1:1)、ウツというのはもともと人名であったので、ウツが住んでいた地方だと言えます。ウツたちが住んだ場所について聖書は次のように教えています。「彼らが住んだ地は、メシャからセファルに及ぶ東の高原地帯であった」(創10:22~30)。

ウツの地は現在のヨルダンであり、昔はエドムと呼ばれた領域を指していると言われています。その地は、雪や氷や雹などとは全く関係がない温かい地です。それにも関わらす、ヨブ記には雪や氷や雹に関する記述が何度もあるのです。以下の通りです。

「ヨブ 6:16 それはで黒ずみ、で隠される。」

「ヨブ 9:30 たとえ私が雪の水で身を洗っても、灰汁で手を清めても、」

「ヨブ 24:19 日照りと暑さは雪解け水を、よみは罪を犯した者を奪い去る。」

「ヨブ 37:6 神はに対して、地に降れと命じ、夕立に、激しい大雨にも命じられる」

「ヨブ 38:22 あなたはの倉に入ったことがあるか。の倉を見たことがあるか。

「ヨブ 37:10 神の息によってが張り広々とした水が凍りつく。」

「ヨブ 38:29 はだれの胎から出て来たのか。空の白いはだれが生んだのか」。

ヨブが住んでいたウツがエドム地方にあったとする聖書的根拠は、ヨブ記に「ヨルダン川」が記録されている事もその根拠の一つにになっています(ヨブ40:23)                                                  

エドムは暖かい地方で「雪」「氷」「雹」「雪解け水」「凍りつく」など、寒い気候を表す言葉とは無縁の地であるにも関わらず、なぜ寒い地方を示す気象用語がヨブ記に幾度も使用されているのでしょうか。それは、古代のエドム地方にも氷河期があったという事を教える為ではないでしょうか。

ヨブが氷河期の終わりに生きていた人であったことをアンサーズブックの著者である創造論科学者が次のように教えています。「氷河期はノアの洪水の後、最長で約500年続いたと考えられます。 ヨブはおそらく氷河期の衰退期に生きていました(ヨブはウツの地に住んでおり、ウツはセムの子孫ですから(創世記10:23)、最も保守的な聖書学者たちでさえ、ヨブはバベルの塔の時代とアブラハムの時代の間に生きていたことで意見が一致します)。興味深いことに、大昔に書かれたヨブ記の中に、氷河期について触れていると思われる個所があります。神は嵐の中からヨブにお尋ねになりました。『氷はだれの胎から生まれ出たか。空の白い霜はだれが生んだか。水は姿を変えて石のようになり、深い淵の面は凍る (ヨブ38:29~30) 』。 このような質問がなされた前提として、神が話されていたことについて、ヨブは直接かあるいは歴史や家族の記録によって知っていたことになります。この個所は恐らく氷河期による気候上の影響――今日の中東では見ることのできない影響――について触れています」(アンサーズブックP281)

ヨブが氷河期衰退期に生きていたと推論できるもう一つの理由は、氷河期に滅んだとされる恐竜の一種である「べへモット」がヨブ記に記録されている事です。

【新共同訳】「ヨブ40:15 見よ、ベヘモットを。お前を造ったわたしはこの獣をも造った。これは牛のように草を食べる。

 40:16 見よ、腰の力と腹筋の勢いを。40:17 尾は杉の枝のようにたわみ/腿の筋は固く絡み合っている。 40:18 骨は青銅の管/骨組みは鋼鉄の棒を組み合わせたようだ。 40:19 これこそ神の傑作/造り主をおいて剣をそれに突きつける者はない。」

※ヘブル語原語ベヘモットは、口語訳、新改訳、などは「河馬」と翻訳しています。しかし、ベヘモットの特徴の描写は河馬とは全く合いません。新共同訳のように原語で「ベヘモット」と訳すことが正しいのです。

ベヘモットの特徴:①草食である ②腰の力と腹筋が強靭 ③尾は杉の木の枝のようにたわんでいる ④腿の筋肉が絡み合っている ④骨は青銅の管のように頑強 ⑤骨組みは頑強な鋼鉄の棒が組み合わさっているようである。

河馬の特徴:①口が大きい ②草食である ③尾は大変短い ④腿の筋肉は足が短いので絡み合っていない。⑤体がずんぐりむっくりで骨が青銅のように頑強のように見えない、また骨組みが頑強は鋼鉄の棒が組み合っているように見えない

④人間の寿命の移り変わり

創世記5章で教えられている人間の寿命は一番寿命の長い人は969歳、一番寿命の短い人は807歳であったという事を前回のレポートで既述していますが、創世記11章の人間の寿命はその時より短くなっています。

ノアの寿命:950歳 、ノアの子どもセムの寿命:600歳、セムの子どもアルパクシャデの寿命:439歳、アルパクシャデの子どもシェラフの寿命:433歳、シュラフの子どもエベルの寿命:464歳、エベルの子どもペレグの寿命:239歳

ペレグの子どもレウの寿命:239歳、レウの子どもセレグの寿命:230歳、セレグの子どもナホルの寿命:148歳

ナホルの子どもテラの寿命:205歳、テラの子どもアブラハムの寿命:175歳、アブラハムの子どもイサクの寿命:180歳

上図の「創世記の人間の寿命推移表」は、赤線で示したアダムの時代の人間の寿命は1000歳に近く、緑線で示したノアの洪水後の人間の寿命は400代に下がり、青線で示した氷河期に生きていたエベルの以降の人間の寿命が200歳代から100歳代に下がっている事を示しています。人間の寿命が段々と短くなってきたのは、、アダムの時代の地球環境と、ノアの大洪水以後の地球環境と、氷河期以降の地球環境とには大きな変化があった事を教えています。地球環境が段々と悪くなった為に、人間の寿命が段々と短くなった事を聖書は教えているのです。

⑤エノクの携挙と7年の大艱難時代前の教会携挙

黄色の線で示したエノクは死なずに、神によって365歳の時に天に携挙された事を聖書は教えています。天には神の座があり、そこには罪はありませんので、罪による苦しみや悲しみのある地上の人間には想像できないような喜びと平安がいつも満ち溢れている祝福の世界です。神は、その素晴らしい天の御国へ、300年間地上でご自身と共に歩むという、忠実な生涯を歩んでいるエノクを、恵みによる報いとして天に携挙されました。エノクのように、天に携挙された人物は預言者のエリヤがいます。彼も、神さまの恵みにより忠実な預言活動への報いとして火の戦車と火の馬に迎えられて天に携挙されました。(Ⅱ列王2:11)。エノクとエリヤの天への携挙は、現代の私たちにとって何を意味しているのでしょうか。それは、今後、7年の大艱難時代が到来する前に起こる、主の空中再臨による教会携挙はありうることを教えている事です。キリストを信じて心に聖霊を宿している全ての聖徒が必ず携挙されることをパウロは断言しています。(参照:Ⅰコリント15:50~53、Ⅰテサロニケ4:13~18、5:1~9、エペソ1:13~23)。

⑥エベルの息子ペレグの時代にバベルの塔の出来事が起きた

聖書はエベルが氷河期に生きていたことを次のように表しています。「創10:25エベルには二人の息子が生まれ、一人の名はペレグであった。その時代に地が分けられたからである。」

バベルの塔の出来事までは、人類は一つの言語で一つの場所に住んでいましたが、それ以後に、人々はばらばらになり、神が散らされた地域に住むようになったことを聖書は教えています。それがエベルの息子ペレグの時代におきました。バベルの塔の出来事は、言語混乱と氷河期と人類の拡散をもたらしたのです。言語の違いは、人間同士のコミュニケ―ションを難しくし、争いの原因の一つにもなってます。現在、世界の言語数について、翻訳商社(ネット)によれば、世界の言語数は「7,123」ぐらいあると言われています。パプア・ニューギニアだけでも840、インドネシヤでも712もあると言われています。

⑥悪魔とバベルの塔の出来事との関わり

創世記11章のバベルの塔の出来事には、悪魔や悪霊どもがどのようにかかわったのか直接的には教えられていませんが、聖書全体より考察をすれば、やはり、悪魔と彼の手下である悪霊どもが神のご計画である「女の子孫より悪魔を敗北させるメシヤ」の誕生を妨害しようとして、バベルの塔を建設させて人類が一致して神に逆らわさせたと推論が出来ます。ノアの時代においては、悪魔はメシヤを生むであろう女子を堕落させ、神のご計画を妨害しようとしましたが、今度は、男も女も含んだ人類全体を神に逆らわせようとしたのです。バベルの塔の出来事は、ニムロデと言う王が支配していたバベルと呼ばれる町で起きました。

◆「創10:9 彼は【主】の前に力ある狩人であった。それゆえ、「【主】の前に力ある狩人ニムロデのように」と言われるようになった。10:10 彼の王国の始まりは、バベル、ウルク、アッカド、カルネで、シンアルの地にあった。」

◆「創11:8 【主】が彼らをそこから地の全面に散らされたので、彼らはその町を建てるのをやめた。11:9 それゆえ、その町の名はバベルと呼ばれた。そこで【主】が全地の話しことばを混乱させ、そこから【主】が人々を地の全面に散らされたからである。」混乱と言う意味の「バベル」は後にバビロンと呼ばれるようになりました。その町の位置は古代のメソポタミヤ(現在のイラク)にあったと言われています

黙示録に啓示されている大バビロンは古代にあった地域のバビロンに建設される事が黙示録に啓示されています。大バビロンは古代ローマの象徴だという解釈がありますが、古代ローマと黙示録の大バビロンは比較すれば、まったく違う事がすぐにわかります。聖書の字義通り文字通りの正しい解釈では黙示録の「大バビロン」はやはりバビロンと呼ばれる古代の都があった地域に建設される都の事を意味しているのです。聖書でバビロンと言えば、バベルの塔の出来事があった都市や地域を指しています。

バビロンと言う「固有名詞」は大バビロンも含め聖書全体で313回使用されていますので、バビロン抜きに、悪魔と神の戦いを語る事は出来ません。イスラエルを通して「女の子孫」であるてメシヤを誕生させようとされている神のご計画を、世の神と呼ばれて世を支配している悪魔がそのバビロンによって、神のメシヤ到来の計画を阻止しようとしたことが、バビロンによる南ユダ王国滅亡の歴史によって分かります。南ユダ王国はBC586年にバビロンのネブカデネザル王によって滅んだのです。しかし、神は、「アブラハム契約」「土地の契約」「ダビデ契約」「新しい契約」という、イスラエルと結ばれた4つの無条件契約に基づき、70年後に生き残ったイスラエルを通して、イスラエルを再建され、神のメシヤ誕生のご計画を進めて行かれました。それに対して、悪魔は、なおも神のメシヤ誕生のご計画を阻止しようとしたのです。その詳細は、今後のレポートでお伝えしていきます。

今後到来する7年の大艱難時代において、悪魔は自分の息子である反キリストを使って、世界全体を(改心したイスラエルとキリストを信じる聖徒以外)一致させて、「大バビロン」を拠点に世界統一政府を樹立し、神に逆らう事が黙示録に啓示されています。

◆「黙17:17 それは、神のことばが成る時まで、神はみこころが実現するように王たちの心を動かし、彼らが一つ思いとなって、自分たちの支配権を獣に委ねるようにされたからです。17:18 あなたが見たあの女は、地の王たちを支配する大きな都のことです」。 黙示録の悪魔の息子である反キリストによって世界が一致して神に逆らうという預言から、古代世界全体を一致させて神に反抗したというバベルの塔の出来事の背後にこの世の神である悪魔が働いていた事は間違いありません。
※獣:反キリストの事。 大きな都:大バビロンの事。

 ⑦バビロンは偽りの宗教と偽りの哲学を生み出した

 人類が、自分たちの幸せのために、創造主を無視して人間中心の社会を築こうとしている現代の偽りの考え、偽りの宗教、偽りの科学的世界観は、バベルの塔建設の時にスタートしました。バベルの塔建設の背後にあるその当時の人類は、創造主がいなくても、自分たちは幸福にやっていけると考えたのです。そのような偽りの哲学はやがて偽りの宗教と偶像宗教と偽りの科学的世界観を生み出してきたのです。そのような偽りの哲学や偽りの宗教、偽りの科学的世界観をなぜ人類は持つようになったのでしょうか。聖書は、悪魔と彼の手下であるこの世の悪霊どもによると教えています。

◆「コロ 2:8 あの空しいだましごとの哲学によって、だれかの捕らわれの身にならないように、注意しなさい。それは人の言い伝えによるもの、この世のもろもろの霊によるものであり、キリストによるものではありません。」古代のエペソは偶像宗教の町でしたが、その町の人々の事をパウロは「罪の中にあってこの世の流れに従い、空中の権威を持つ支配者として今も不従順の子らの中に働いている霊に従って、歩んでいる」(エペソ2:1)と教えています。偶像宗教はは悪魔と悪霊どもによる産物だとパウロは教えているのです。全人類が一致して創造主の神に対して逆らい、天まで届く巨大なバベルの塔を建設した事に対する神の怒りによる裁きによって、次の三つの災いが起きました。①言葉の混乱 ②バベルの塔の崩壊  ③氷河期の到来。この三つの出来事の故に、その当時の人類は世界に拡散して行き、現在の人種別の拡散と民族別の拡散と言語別の拡散などの拡散状況を生み出したのです。

創造科学研究会が2006年6月1日に発行した機関紙10号で「バベルの名の由来」を以下のように教えています。

「近代になって、楔形文字で書かれたアカッド語の粘土板が発見された、そこにもバベルの名が発見された。バベルの塔と考えられるジグラードには、マルドゥク神に合うため聖所があある。シュメール人やアカッド人たちはこれをバブ・イル、すなわちバブ(門)とイル(神)の二つの単語の複合語と考え「神の門」と呼んでいた。ヘブル語の混乱の意味の単語にはバラルがあり、古代ヘブル語のバベルには混乱の意味がある。漢字の「乱」は、「舌」と「乚」(人の右足)の組み合わせである。ネルソンは、多くの漢字が創世記の出来事に基づいて造られたと考えているが、乱と言う漢字は「言語(舌)の混乱によって人々が散らされ移住した様子を」象って造られた「乱れる」と言う意味の字ではないかと考えている」(宇佐海 実)

◆神の人類の裁きは環境の悪化を含んでいる

既に述べてきましたが、人間の寿命は環境の変化と共に変化している事が分かります。現在の環境は氷河期の前より悪く、氷河期の環境はノアの洪水の前より悪く、ノアの洪水の前の環境は、人間が罪に堕落する前の環境より悪かったことを聖書は教えています。世界の環境が悪化の道を辿る事によって人間の寿命が短くなってきたのです。

聖書は、環境の変化が人間の寿命に関係している事を教えています。その事を、私に最初に教えて下さったのが「ジェネセスジャパン」の宇佐神正海先生でした。宇佐神先生は牧師でありつつ、医者もされています。先生によりますと、今日の約120歳の寿命は、宇宙から降り注ぐ放射線の影響によるというものでした。人間の体は1分間にはがき一枚大位の大きさで、宇宙からの放射線で被爆し、それによって細胞が傷つき寿命が約120歳位になっているという事です。なぜ、宇宙からの沢山の放射線が降り注ぐようになったのか、その原因はノアの大洪水の時に、地球を覆うっていた水蒸気(上の水)が降り注ぎ、その結果宇宙からの放射が多く降り注ぐようになり、人の寿命に影響きを与えてきたというのです。水が放射線を防ぐのに重要な役割をしている事は、原子力発電所に放射能が出ないように原水炉が使用されている事で理解ができます。創世記によると、神が今日の天地万物を創造された時の創造の6日間の2日目に「上の水」を設けられたことが啓示されています。

「創1:6 神は仰せられた。「大空よ、水の真っただ中にあれ。水と水の間を分けるものとなれ。」1:7 神は大空を造り、大空の下にある水と大空の上にある水を分けられた。すると、そのようになった。1:8 神は大空を天と名づけられた。夕があり、朝があった。第二日。」 宇佐神先生によりますと、ノアの大洪水の時に、天の窓が開き宇宙からの放射能を防ぐフィルターの役目をしていた上の水が降り注ぎ、その結果人は毎日被爆するようになったというのです。

 ◆人間の寿命が短くなってきた意味

人間の寿命が現代において長くても120歳というのは、人間の不信仰と罪に対する裁きとして、人間の住む自然環境を悪くさせてこられたという、神の裁きの結果であるという事を聖書は教えています。神が世界規模で人を裁かれるときに自然環境も悪くされるというのが聖書の教える真理です。

◆黙示録が教える7年の大艱難時代の環境の悪化

黙示録の7年の大艱難時代は、環境が極端に悪くなることが預言されています。創世記10章~11章で教えらえている神の裁きによってこの世界に氷河期が訪れ人間の寿命が100歳代に低められたという事は、やがて終末の大艱難時代において、不信仰なイスラエルと人類に対して神が怒りをもって裁かれる時に、黙示録が教えるように世界の環境が極端に悪くなることが事実として必ず起こるという事を教えているのです。

「黙8:7 第一の御使いがラッパを吹いた。すると、血の混じった雹と火が現れて、地に投げ込まれた。そして地の三分の一が焼かれ、木々の三分の一も焼かれ、すべての青草も焼かれてしまった8:8 第二の御使いがラッパを吹いた。すると、火の燃えている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして海の三分の一が血になった。8:9 また、海の中にいる被造物で、いのちのあるものの三分の一が死に、船の三分の一が壊された。8:10 第三の御使いがラッパを吹いた。すると、天から、たいまつのように燃えている大きな星が落ちて来て、川の三分の一とその水源の上に落ちた。8:11 この星の名は「苦よもぎ」と呼ばれ、水の三分の一は苦よもぎのようになった。水が苦くなったので、その水のために多くの人が死んだ。8:12 第四の御使いがラッパを吹いた。すると太陽の三分の一と、月の三分の一、また星の三分の一が打たれたので、それらの三分の一は暗くなり、昼の三分の一は光を失い、夜も同じようになった。」

以上のように、黙示録はメシヤ的王国実現前の7年の大艱難時代に、世界の環境がそれまでになかったほどの悪い環境になる事が預言され、その時代の人類は4分の3が死滅するのです。約30キロの塊のまるで大きな岩なような雹が降ってくることも預言されています。(黙示16:21/雹の重さが1タラントで表記)

 

【終わりに】

創世記第1章~11章を真の歴史ではなく神話とする神学者たちは、その神話が教える教訓を霊的に象徴的に読み取り、現代に生きるキリスト者の霊的糧、信仰的糧として説教がなされます。そこに神話として読む聖書の価値を見出そうとしています。それに対して、創世記第1章~第11章を、文字通りに字義通りの歴史的事実として受け入れている聖書主義者の神学者たちは、その歴史的事実が何を教えようとしているのか、霊的教訓、信仰的教訓を学び現代に生きるキリスト者の霊的糧、信仰的糧として説教がなされます。私は後者の立場に立つものですが、それは、創世記第1章~第11章が、歴史的事実として他の旧約聖書や新約聖書の書簡に多く引用をされている事に根拠を置いています。例えばですが、イエス・キリストは創世記に基づいて人類が男と女で始まったことを教えておられます。(マタイ19:4)。パウロも、同様にこの世界に罪と死が入ってきたのはアダムの罪によることを教えています。(ロマ5:12)。また、その他、カインがアベル殺した出来事(へブル12:24)、更にノアの大洪水物語などが歴史的出来事として起こったことが教えられています。(タイ24:37~39、Ⅰペテロ3:19~20、Ⅱペテロの3:5、)。もし、私たちが、創世記第1章から第11章を歴史的出来事として読まなければ、キリストの福音の歴史も神話となってしまい、歴史的事実としての福音が失われていきます。聖書は悪魔の存在も間違いなく歴史的存在であることを教えています。決して神話的な存在として描いていません。聖書の終末論と聖書の教える悪魔論を正しく理解する為には、創世記第1章~第11章を神話でなく、歴史的事実として「神の霊感によって書かれた」というパウロの説く真理に立つ必要があります(Ⅱテモテ3:16)。

聖書の教える終末論を正しく理解して、終末の時代に生きている者に相応しいあり方ができるように創造主の神に祈りましょう。

次回は、創世記12章以後において、神が「女の子孫」であるメシヤ誕生と言うご計画をどのように進めていかれるのか、その終末の出来事に向かって歴史を何を中心にしながら進めていかれるのか、それに対する悪魔がどのように妨害をしようとしてきたかを学びたいと思います。

 

万物の終りが近づいている。だから、心を確かにし、身を慎んで、努めて祈りなさい」(Ⅰペテロ4:7)

「聖書のどんな預言も勝手に解釈するものではないことを、まず心得ておきなさい。」(Ⅱペテ 1:20)