シリーズ神学ミニレポート
2023年4月12日
聖書66巻の終末論
創世記の終末論Ⅴ
創世記17章~25章

【はじめに】

 前回は、神がアブラハムと結ばれた「アブラハム契約」により、アブラハムを通して世界を祝福するという神のご計画とアブラハムの子孫からメシヤの誕生をご計画されている事を明らかにされた事をお伝えしました。それによって、悪魔は神が世界を祝福しようとされているご計画の中に、自分の「万物支配」と言う野望を打ち砕く計画が含まれている事を知りました。それ故に悪魔はその神の計画を阻止する為に、アブラハムとイサクを滅ぼしにかかったのです。しかし、神の無条件契約である「アブラハム契約」により、その悪魔の妨害に対して神が勝利された事を学びました。今回も、悪魔の野望を打ち砕く終末の「メシヤ誕生」と、神の祝福で満ち溢れる「メシヤ的王国」の実現の鍵となる「アブラハム契約」の進展についてレポートします。

Ⅰ 創世記17章の終末論

1、アブラハム契約の子孫への継承

「創17:1 さて、アブラムが九十九歳のとき、【主】はアブラムに現れ、こう言われた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしの前に歩み、全き者であれ。17:2 わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に立てる。わたしは、あなたを大いに増やす。」17:3 アブラムはひれ伏した。神は彼にこう告げられた。17:4『これが、あなたと結ぶわたしの契約である。あなたは多くの国民の父となる。17:5 あなたの名は、もはや、アブラムとは呼ばれない。あなたの名はアブラハムとなる。わたしがあなたを多くの国民の父とするからである。17:6 わたしは、あなたをますます子孫に富ませ、あなたをいくつもの国民とする。王たちが、あなたから出てくるだろう。17:7 わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に、またあなたの後の子孫との間に、代々にわたる永遠の契約として立てる。わたしは、あなたの神、あなたの後の子孫の神となる。17:8 わたしは、あなたの寄留の地、カナンの全土を、あなたとあなたの後の子孫に永遠の所有として与える。わたしは彼らの神となる。』」

創世記17章では第6回目のアブラハム契約が結ばれています。その契約は5つの条項で結ばれています。

アブラハムを多くの国民の父とする。名前が「アブラム」から「アブラハム」に変更。

アブラハムを富ませいくつもの国民と王たちを出す。

アブラハム契約が子孫に永遠に継承される。

神が、永遠にアブラハムと彼の子孫の神となる。

カナンの全土をアブラハムとその子孫の永遠の所有とする。

以上の五つの契約条項の中で、まだ実現されていないのが、「カナン全土」がアブラハムとその子孫の実際に所有となるという約束です。その約束の成就は既に述べていますように、キリストの地上再臨により実現する終末のメシヤ的王国の到来を待たねばなりません。

 

2、アブラハム契約を継承する子孫はイシュマエルでなくイサクである

「創17:19 神は仰せられた。「いや、あなたの妻サラが、あなたに男の子を産むのだ。あなたはその子をイサクと名づけなさい。わたしは彼と、わたしの契約を立て、それを彼の後の子孫のために永遠の契約とする。17:20 イシュマエルについては、あなたの言うことを聞き入れた。必ず、わたしは彼を祝福し、子孫に富ませ、大いに増やす。彼は十二人の族長たちを生む。わたしは彼を大いなる国民とする。17:21 しかし、わたしがわたしの契約を立てるのは、サラが来年の今ごろあなたに産むイサクとの間にである。」

アブラハムは、ハガルが生んだイシュマエルが契約の継承者となる事を願いましたが、神はそれを否定し、やがて生まれる約束の子「イサク」がそれを継承すると告げられました。アブラハム契約を継承する子孫はイサクの系統だと更に明確になってきました。こうして、少しずつ約束を明らかにし、啓示されていくことを「漸進的啓示」(ぜんしんてきけいじ)と言います。終末論も漸進的啓示によって少しずつその全貌が明らかにされていきます。

 

Ⅱ 創世記18章の終末論

◆アブラハム契約の成就の強調/第7回目のアブラハム契約

「創18:17 【主】はこう考えられた。「わたしは、自分がしようとしていることを、アブラハムに隠しておくべきだろうか。創18:18 アブラハムは必ず、強く大いなる国民となり、地のすべての国民は彼によって祝福される。」

アブラハムを訪れた三人の旅人の内一人は主なる神でした。創世記18章17節では、その主なる神が同伴し共に歩いているアブラハムの傍で、「アブラハムは必ず、強く大いなる国民となり、地のすべての国民は彼によって祝福される」とお考えになっていた事が教えられています。アブラハムに直接お語りになったのではありませんが、それはこれまでのアブラハム契約で約束された契約条項を強調するものでしたので、それは第7回目の「アブラハム契約」が啓示された事になります。

 

Ⅲ 創世記19章の終末論

◆メシヤ、イエス・キリストの誕生の系列に加わるルツの誕生に向けて

  19章には、邪悪に満ちたソドム・ゴモラが天からの火の硫黄によって滅ぼされた事が記録されています。その時に、その町に住んでいたロトと妻と娘二人が御使いにより助け出されました。しかし、ロトの妻はみ使いが命じた「振り返ってはならない」に反して振り返ったために、裁かれて塩の柱になってしまいました。残されたロトは娘たちから酒を飲まされて泥酔状態にされて、自分の知らない間に娘たちと関係を持たされてしまいます。娘二人はお父さんロトの関係でそれぞれ子どもを出産します。姉が産んだ子どもは「モアブ」と名付けられ、モアブびとの先祖となりました。妹が産んだ子どもは「ベン・アミ」と名付けられ、アモン人の先祖となりました。

「創19:37 姉は男の子を産んで、その子をモアブと名づけた。彼は今日のモアブ人の先祖である。19:38 妹もまた、男の子を産んで、その子をベン・アミと名づけた。彼は今日のアモン人の先祖である。」

以上のように、ロトの娘たちは父親のロトによって子どもを出産すると言う不自然な形で子どもをもうけましたが、神はそれを許されました。それは、神の計画の中に異邦人であるモアブ人ルツを、メシヤ誕生の系列の中に組み込むことをお考えになっていた事によります。

◆ルツ記の出来事

  ルツ記には、イスラエルのベツレヘムから飢饉を逃れてモアブの地にやって来たユダヤ人家族の事が記されています。夫はエリメレク、妻はナオミ、息子はマフロンとキルヨンの二人です。夫は、モアブの地でやがて病気で亡くなりましたが、二人の息子はそれぞれモアブ人の女性と結婚します。その女性の名はルツとオルパです。しかし、10年暮らした後に、二人の息子も病死してしまいます。ナオミは、二人の嫁に別れを告げて、飢饉が終わった故郷のベツレヘムに戻る事を嫁のルツはナオミに告げ、嫁たちを自由にさらせようとします。しかし、ルツはナオミと別れず、ナオミと一緒にベツレヘムにやってきます。そのベツレヘムに住んでいるナオミの親族のボアズにルツは見染められ、結婚します。そのボアズとルツの間に生まれたのがオベデです。そのオベデがダビデの父エッサイを生むのです。そのダビデの家系からメシヤである「イエス・キリスト」が誕生したことをマタイは教えています。

「マタ 1:1 アブラハムの子孫、ダビデの子孫、イエス・キリストの系図。 1:2 アブラハムにイサクが生まれ、イサクにヤコブが生まれ、ヤコブにユダとその兄弟たちが生まれ、 1:3 ユダに、タマルによってパレスとザラが生まれ、パレスにエスロンが生まれ、エスロンにアラムが生まれ、 1:4 アラムにアミナダブが生まれ、アミナダブにナアソンが生まれ、ナアソンにサルモンが生まれ、1:5 サルモンに、ラハブによってボアズが生まれ、ボアズに、ルツによってオベデが生まれ、オベデにエッサイが生まれ、1:6 エッサイにダビデ王が生まれた。ダビデに、ウリヤの妻によってソロモンが生まれ、・・」

以上のように、悪魔を頭を踏み砕くメシヤ、イエス・キリストの誕生に向けて、神はロトの娘がお父さんロトによって出産することをお許しになっていたのです。神の終末に向けての不思議な歴史支配、摂理です。

 Ⅲ創世記20章の出来事(再び偽ったアブラハム)

 アブラハムは創世記12章で、、飢饉の為にエジプトへ行ったとき、自分の命の安全を願って美しい妻サラを「妹」だと偽って、エジプトの王パロに召し抱えさせるという大失敗をしました。しかし、神の介入で、エジプトの王とサラとは性的関係を持つことなく、エジプトの王から解放されました。それにも関わらず、アブラハム再び自己保存のためにサラを「妹」だと偽ってペリシテのゲラルの王アビメルクに、召し抱えさせました。しかし再び神の介入で、アビメルクとサラは何の性的関係を持つことなく、無事アビメルクから解放されました。もし、サラが異邦人の王たちに召し抱えられてその障害を終えたら、神アブラハムとサラの間に奇跡による約束の子を産ませて、「女の子孫」と呼ばれるてメシヤを遣わし、悪魔に勝利をされるご計画が終わってしまいます。霊的に成長が不十分なアブラハムが自己保存のために2回も偽ってサラを妹だと言わせたのは、その背後に、偽りの父である巧妙な悪魔の働きかけがアブラハムにあったと思われます。しかし、神さまが先手を打って「アブラハム契約」を交わされていたので、そのアブラハム契約に従って、その出来事に介入される事が出来ました。アブラハムの偽りによって、悪魔に対する神の勝利の御計画が悪魔によって妨害されようとしましたが、アブラハム契約によりに二つの出来事に神は介入され、ご自身が「アブラハム契約」を必ず実現させる真実なお方だと示されました。

 

Ⅷ 創世記22章の終末論

1、アブラハムのイサク献祭と復活信仰

 「創22:10 アブラハムは手を伸ばして刃物を取り、息子を屠ろうとした。22:11 そのとき、【主】の使いが天から彼に呼びかけられた。「アブラハム、アブラハム。」彼は答えた。「はい、ここにおります。」22:12 御使いは言われた。「その子に手を下してはならない。その子に何もしてはならない。今わたしは、あなたが神を恐れていることがよく分かった。あなたは、自分の子、自分のひとり子さえ惜しむことがなかった。」

以上の神の命令に従ったアブラハムのイサク献祭の背後に、アブラハムの強い信仰がありました。一つは、これまでの契約において神が「多くの子孫」を与えると約束された約束を、神はたとえイサクを献げても守られるという、神の誠実さを堅く信じる信仰でした。もう一つは、神はたとえイサクを殺し献げても必ず甦らせて、契約の継承者にするという約束を実現して下さるという復活信仰でした。その事をへブル書の著者が教えています。「ヘブル11:17 信仰によって、アブラハムは試みを受けたときにイサクを献げました約束を受けていた彼が、自分のただひとりの子を献げようとしたのです。11:18 神はアブラハムに「イサクにあって、あなたの子孫が起こされる」と言われましたが、11:19 彼は、神には人を死者の中からよみがえらせることもできると考えました。それで彼は、比喩的に言えば、イサクを死者の中から取り戻したのです」。

 

2、アブラハムを初め旧約の聖徒達が甦る時

神が約束したことを成就するためには、約束を受けた人が約束の成就を見ないまま死んだ場合は、その人を復活させてでも成就されるというのがアブラハムの信仰であり、旧約の預言者たちの信仰でした。その証拠に、イザヤ書とダニエル書において、キリストがメシヤ的王国を実現された時に、旧約の聖徒達を復活させられる事が希望として預言されています。

「イザ26:19 あなたの死人は生き返り、私の屍は、よみがえります。覚めよ、喜び歌え。土のちりの中にとどまる者よ。まことに、あなたの露は光の露。地は死者の霊を生き返らせます。」

「ダニ12:2 ちりの大地の中に眠っている者のうち、多くの者が目を覚ます。ある者は永遠のいのちに、ある者は恥辱と、永遠の嫌悪に。12:3 賢明な者たちは大空の輝きのように輝き、多くの者を義に導いた者は、世々限りなく、星のようになる」

「ダニ12:13 あなたは終わりまで歩み、休みに入れ。あなたは時の終わりに、あなたの割り当ての地に立つ。」

アブラハムの復活信仰はイザヤとダニエルに引き継がれ、ダニエルは彼自身が復活してメシヤ的王国において割当地に立つ事を神の約束として与えられています。また、多くの復活した旧約時代の聖徒達がメシヤ的王国で「星のように輝き、星のようになる」と約束されています(ダニエル12:3)。へブル書12章では、旧約の聖徒達が「全うされた義人の霊」と呼ばれていますが、その中にアブラハムもイザヤもダニエルも含まれており、旧約の全ての聖徒達が、キリストが再臨されて成就されるメシヤ的王国の初めに甦りの恵みに与る事を聖書は教えているのです。

 

3、モリヤの山における第8回目のアブラハム契約

アブラハムがモリヤの山でイサクを献げた「イサク献祭」の時に、神は第8回目のアブラハム契約を結ばれました。

◆「創22:15 それから【主】の使いは、再び天からアブラハムを呼んで、 22:16 仰せられた。「これは【主】の御告げである。わたしは自分にかけて誓う。あなたが、このことをなし、あなたの子、あなたのひとり子を惜しまなかったから、 22:17 わたしは確かにあなたを大いに祝福し、あなたの子孫を、空の星、海辺の砂のように数多く増し加えよう。そしてあなたの子孫は、その敵の門を勝ち取るであろう。。 22:18 あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。あなたがわたしの声に聞き従ったからである。」

 

◆モリヤの山

「創22:2神は仰せられた。『あなたの子、あなたの愛してしているひとり子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。』

アブラハムによってイサクが献げられたモリヤの山は今日のエルサレムの山の付近です。ソロモンが建てた神殿はモリヤの山(エルサレム)でした。(Ⅱ歴代3:2)。エルサレムとその周辺は、愛するアブラハムに約束されたアブラハム契約成就の為の終末時代の重要な舞台として選ばれていたのです。その事が、アブラハムが」イサク献祭」の場所の名を「アドナイ イルエ」と呼んだことでも示されています。通常、「アドナイ イルエ」は「主の山の上には備えがある」と解釈されていますが、ユダヤ人のラビであるアブラハム・J・ヘシェルはで次の通りに違った解釈をしています。「これにより人々は今日にもなお『山の上にヴィジョンあり』と言う(創世記22:14/イスラエル永遠のこだまP42」)。ヘブル語のイルエは「備え」を意味するのか、それとも「ヴィジョン(見る)」を意味するのか、それを正しく知るにはヘブル語原語を調べる必要があります。へブル語で創世記22章14節は次の通りです。

日本語の口語訳、新改訳2017年版、新共同訳、文語訳と英訳のRSTV、NKJV、TEVなどは「イルエ」を「備えあり」と訳しています。しかし、ヘブル語聖書をギリシャ語に翻訳した70人訳聖書と英訳のKJVでは「ビジョン(見る)」と翻訳しています。以下は70人訳です。

◆エルサレム(ヘブル語読みではエルシャライム)の意味

Jバイブルの文法解析ではイルエの意味を「備え」ではなく「見る」「分かる」「理解する」と教えています。以上の事から「イルエ」とか「エレ」と訳されているヘブル語は70人訳の翻訳者であるユダヤ人やユダヤ人のラビであるアブラハム・J・ヘルシェルの解釈する「ビジョン(見る)」が正しいと判断します。それは、モリヤの山がやがて「エルサレム」と呼ばれるようになった事からも、正しい解釈だと判断します。アブラハム・J・ヘルシェルは「エルサレム」の意味について次のように説明をしています。「町の名エルシャライムには、どんな意味があるのだろうか。この町は初めシャローム(サレム)–平和(創世記14:18)と「呼ばれていたが、後にアブラハムがエレと名付けた。『これにより人々は今日にもなお『山の上にヴィジョンあり』と言う(創世記22:14)。エルシャライムは、この両方の名をつなげたものだ。エルとシャローム、「ビジョンと平和」・・神は人間の姿を(神の姿に)修復させようというヴィジョンを持っておられた。そこで神は、天国に町を創造され。それをエルサレムと名付けられた。地上のエルサレムが天国のエルサレムに似つかわしいものとなるように希望しながら、祈りながら。エルサレムは、神の望みに応えることを人々に思い起こさせ、強く促し、その実現を待ち焦がれている町だ」(アブラハム・J・ヘルシェル著「イスラエル永遠のこだま」P42~45)

◆創造主のビジョン 

創造主は、アブラハム契約の故に、やがてメシヤ的王国において、ユダヤのエルサレムから世界を祝福する祝福の川が流れ、イスラエル民族を初め、世界の多くの人々が神の姿を回復させる事をご自身のヴィジョンとされているのです。イザヤがそれを預言しています。

「イザヤ2:1 アモツの子イザヤが、ユダとエルサレムについて示された先見のことば。 2:2 終わりの日に、【主】の家の山は、山々の頂に堅く立ち、丘々よりもそびえ立ち、すべての国々がそこに流れて来る。 2:3 多くの民が来て言う。「さあ、【主】の山、ヤコブの神の家に上ろう。主はご自分の道を、私たちに教えてくださる。私たちはその小道を歩もう。」それは、シオンからみおしえが出、エルサレムから【主】のことばが出るからだ。 2:4 主は国々の間をさばき、多くの国々の民に、判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない。 2:5 来たれ。ヤコブの家よ。私たちも【主】の光に歩もう。」

 

Ⅸ 創世記23章の終末論

「創23:17 こうして、マムレに面するマクペラにあるエフロンの畑地、すなわち、その畑と、畑地にある洞穴と、畑地の周りの境界線内にあるすべての木は、23:18 その町の門に入るすべてのヒッタイト人たちの目の前で、アブラハムの所有となった。」

アブラハムは妻のサライを葬るために土地をヒッタイト人エフロンから買いました。彼は、神様によって広大な土地を受け継ぐ約束を受けましたが、彼が生涯において自分の所有とした土地は、わずかなシェケムの祭壇のための土地(創世記12章)と、わずかな井戸の土地(創世記21章)とヘブロンにあるマムレに面するマクペラにあるわずかな「エフロンの畑地」でした。アブラハムが広大な土地を受け継ぐ約束は彼の生涯の間に実現せず、イサク、ヤコブ、イスラエルにその約束が継承されていきました。その約束は今だ実現していません。これから実現するメシヤ的王国において成就することをエゼキエルが48章で預言しています。アブラハムが土地の約束の成就を体験するには、メシヤ的王国における復活の朝まで待たなければならないのです。

キリストは、天の御国と呼ばれた「メシヤ的王国」において、多くの人が甦ったアブラハムと食事を共にすることを預言されています。

「マタ 8:11 あなたがたに言いますが、多くの人が東からも西からも来て、天の御国でアブラハム、イサク、ヤコブと一緒に食卓に着きます。」

 

Ⅹ 創世記25章の終末論

 「創25:1アブラハムは、再び妻を迎えた。その名はケトラといった。25:2 彼女はアブラハムに、ジムラン、ヨクシャン、メダン、ミディアン、イシュバク、シュアハを産んだ。25:3 ヨクシャンはシェバとデダンを生んだ。デダンの子孫は、アッシュル人とレトシム人とレウミム人であった。・・25:4 ミディアンの子は、エファ、エフェル、ハノク、アビダ、エルダアで、これらはみな、ケトラの子であった。25:5 アブラハムは自分の全財産をイサクに与えた。」

 アブラハムは、サラの死後にケトラと再婚し6人の男の子たちをもうけました。ローマ4:6でパウロがキリスト者の事を「アブラハムの子孫」だと教えている事から、教会やキリスト者は「霊的イスラエル」だと多くの神学者や牧師がたが解釈されているいます。それは間違った解釈であることを、ハガルが生んだイシュマエルとケトラが生んだ6人の子どもたちで分かります。アブラハムの血統は、サラが生んだイサクからヤコブへ、ヤコブからヤコブの12人の男の子たち(イスラエル民族)への流れと、ハガルが生んだイシュマエルとイシュマエルが生んだ12人の子どもたち(アラブ民族)の流れと、ケトラが生んだ6人の子どもたちの流れがあるので、「アブラハムの子孫」がイコール「イスラエル」だという事は出来ないのです。イスラエルという名は、ヤコブの血統から生まれてきた民族だという事をを聖書は教えています。その事は、終末において登場する教会とイスラエルの関係を論じる時に、大変重要な事実となっています。(参照:創世記の終末論Ⅳ創世記16章イシュマエルはアラブの先祖)

 

【終わりに】

神は、悪魔の頭を踏み砕く「女の子孫のメシヤ(イエス・キリスト)」の誕生に向けて、アブラハムと無条件契約の「アブラハム契約」を交わされて、アブラハムに働いた悪魔の二つの妨害を阻止されました。その神さまの戦略が今後「メシヤ的王国」の実現まで続いて行くのです。次回もその事を学びたいと思います。また、悪魔は「反ユダヤ主義」をアラブの人を初め多くの人に植え込んで、神の「メシヤ誕生」 のご計画を阻止しようとしてきたのです。悪魔による「反ユダヤ主義」によるイスラエル撲滅の策略についてはおいおい詳細に論じていきたいと思います。。